JCDとは
JCDは1961年に創立され、永きに渡りインテリアデザインの発展と文化育成に貢献して参りました。現在の主な活動は、デザインアワード、シンポジウム、子供達にデザインを教えるSODA活動、各種出版を始め、全国の各支部では様々なデザインイベントや交流会など開催しております。
2020年、私たち人類は新型コロナウィルス感染症という見えない敵と対峙する事になりました。東京オリンピックは延期になり、人との接触を極力避ける生活を強いられました。これまで私達デザイナーが追いかけてきた「人を集め、賑わいをつくる」という行為自体が否定され、今まで培ってきた価値観を封印されてしまいました。そして、オンラインでの商売やビジネス環境が一気に浸透し、沢山の人々がそれを使いこなすようになり、人との接触は極端に減り、経済活動が大きなダメージを受けることとなりました。その結果、私達のつくるリアルな空間の意義を問いただされる事態となっています。しかし、経済的ダメージとは裏腹に、世界的な環境問題、地方や地域の在り方とコミュニティの大切さ、働き方の再定義、家族や仲間との時間、自分らしさへの模索など、本当に大切なことは何か?という、今まで議論の中心になりにくかったものにスポットライトが当たる事で、私達の未来はどうあるべきか、という事を考える機会になったとも言えます。この先の生活環境やビジネスシーンが大きく変わり、新しい商売やサービスの在り方が変わっていこうとしている今こそ、私たちはデザイナーとして夢と未来を語り、正しい社会を描き、新しいデザインを生み出すタイミングに差しかかって来ております。リアルな空間のデザインは、益々重要な意味を持ってくるでしょう。そして、私達が関わる経済活動を発展させ、進化させていく事は、この日本の未来を創っていくことと同意義であると考えております。
2019年、JCDはDSA(一社日本空間デザイン協会)とそれぞれ主催してきたアワードを統合し「日本空間デザイン賞」を設立しました。約半世紀にわたり、それぞれ独自の顕彰を行ってきた2つのアワードがひとつになり、正に日本を代表する空間系デザインアワードとなりました。こんなコロナ禍の状況の中だからこそ、新しい時代に向けたデザインに着目しつつ、歴史や文化は大切に守りながら審査を行い、このアワードを業界はもちろん、国内外に広く伝えていく事が、デザインの意義や価値を上げ、後身を育てていくことになると考えております。そして、世界を相手に日本のデザインと文化を伝えていき、デザインの価値を高めていきたいと思います。
現在JCDのネットワークは国内外に広がっており、海外のデザイン団体との協力やアジアを中心としたネットワークが、デザインという共通言語をもって、たくさんの仲間を増やしております。国内でも関連団体との連携を積極的に行っており、デザインの力をより大きなものとして強く発信していくことに一致団結しております。
そして、2021年には創立60周年を迎え、様々なイベントや発表をしていく予定です。このような活動をしていくには、沢山の仲間が必要です。団体というものは、時に面倒で重く感じるものですが、団体でなければ出来ない事が数限りなくあります。団体を通して貴重な経験や体験を得ながら、先輩や仲間、後輩ができ、お互いの考えを共有していく事は、人生にとって知恵と豊かさを得ることであると、私自身も深く感じております。
ぜひ、皆様にもメンバーとなって活動に参加して頂き、時に楽しく、時に厳しく、語り合いましょう!日本の豊かな未来のために。
2021年1月
一般社団法人 日本商環境デザイン協会
理事長 窪田 茂