杵築市の西部に位置する八坂小学校は、北西共に山地を抱え、校区中央部には「豊の国名水15選」に選出された源流を持つ八坂川があり、その恩恵を得ている田園地帯はまさに子供達のフィールドの様、牧歌的に広大に広がっていました。そんな小学校の6年生21名とSODA授業を行いました。杵築市の小学校は、前年度の杵築小学校に続いて2度目の開催となりますが、前回同様に思うのは、生徒の自主性と協調生が皆同様に優れている…と感じる事でした。
九州支部では20年間「デザインスクールキャラバン」と称して出張出前授業を行なっていますが、子供達には往々にしてワークショップに向き合う意識の差があるものです。しかし、この学校の生徒は「ここはこうしたい」「こういうのはどう?」「ここはどう思う?」などと子供達の間で自主的に積極的にコミュニケーションをとり、製作が進められてとても感心させられました。これは学校の校風なのか、地域の特性なのかはわかりませんが、大らかにのびのびと街に育まれている証しと思いました。
製作作業に取りかかる前に、まずは掴みのお話とでも言うか少し専門的なレクチャーを行います。世界の寸法や光の種類の話をすると、あちこちから「エッー!!」「きれい!!」と声が上がります。次に様々な素材を見せては、「オーッ」「すげー!」と.黄色い声もしてきます。はたまた光源の色やその効果などの話をすれば、「ワ〜ッ」と大はしゃぎして聞き入ってきます。ここまでくれば、だいぶ子供達も緊張がほぐれてきます。これからが本題の製作作業に取りかかります。今回のテーマは、「杵築にあったらいいな!こんなところ」です。生徒は事前授業を行い、それぞれのグループで製作施設とコンセプトを話し合っていました。そして設計まですでに完了し準備万端で挑んできました。この辺りは、学校側の先生たちの意気込みも感じ取られ、私たちもそれに応じなければ.....と唾を飲み込む状況でした。
各講師はそれぞれのグループにつき、まずは子供たちからコンセプトを聞き出します。聞き出すというより、事前に用意された設計図のプレゼンテーションをしてもらいます。これが実に面白いのですが、共通して言える事は、皆んな杵築が好きなんだという事でした。「杵築には子供が遊べる〇〇がねーき(無いから)それを作りたい!。とか、杵築にはよこえる(休憩できる)お店がすくねーき(少ないから)それが〇〇にあるとじいちゃんが喜ぶ!などと、なるほど...と思える子供たちの説明に驚かされました。製作作業に入っても、グループ皆んなで話し合いをして進めていきます。作業に手が止まると他の生徒が声をかけ、助け合いをしながら進めていきました。当日は地元のテレビ局やケーブルテレビ局に加え、新聞社の取材が入りましたが、それらのインタビューにも子供たちはたじろぐ事もなく、堂々と自分の考えを述べ、ある種の頼もしさも覚えました。
全ての作品発表が完了し思うことは、本当に子供達たちはこの杵築が大好きなんだろう...と感じました。作品テーマは「あったらいいな」でしたが、杵築初は勿論の事、大分発、日本初といった施設や仕掛けがザクザク出てくる事!(笑)。それを嬉しそうに聞き入る学校関係者や杵築市長を始めとした市関係者の方々を見ると、ある種の地方都市の力強さを感じました。毎回授業を通して、私たちデザイナーもやるべき事を改めて感じさせられ、今回も大成功となりました。
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